「うつせみ」音作りメモ

最初はSEをたくさん使おうかと思ったが、環境音などをそのまま使ってもあんまり面白くないと感じたので、再び本をちゃんと読むまではその作業はペンディング。

この作品でギターを使うかどうかまだわからない。とりあえずAbletonでInstrument RackとAudio Rackをたくさん作る。
本当に芝居にとって効果的なものになっているかどうかはまだわからない。
ただ、おそらく必要とされるであろう質の音を目分量で作る。
まだその作業は道半ば。どれくらいのものが必要かもまだ不明。

このアプローチだとプリセットという財産が目に見える形で増えていくので、結構ガンガン作ってしまう。勢いでガーッとできるとそれはそれで良いのだが、再利用しやすい形でプリセットを保存するのが大事だ。
個人的な好みだと、なるべく単機能のモジュールとして保存して、ラックを入れ子に組み合わせて使用できるようにしていくのが使いやすい。
とりあえずAudio Rackのフォルダを見れば良いというのも単純で良い。
ただし、このやり方だとたくさん使った時にひょっとしたらCPUが悲鳴をあげるかもしれない。
今のところ大丈夫だけど……(芝居でない)曲作りの時は気をつけないといけないかも。
まあ、そういう懸念はあるにせよ、僕は今までDAWでノウハウを積み上げるのをある種サボっていた。
最近ようやく、少なくともAbletonの方では積み上げる方策ができてきた。
Logicで同じことができるかなあ、というかやる必要があるかなあ。
他日、また検討してみたい。

「うつせみ」を前回やった時は最初ものすごく苦労した。
今回は果たしてどうでしょう。
成長の跡を見せられるといいのですが。

『賢治讃劇場』本番間近/主に音楽について

ここ数日間は怒涛の稽古ラッシュでした。もちろん10月11日から本番を迎える横浜ボートシアター『賢治讃劇場』の稽古です。稽古場にいる最中はあまり疲れの自覚がなかったのですが、家に帰ると即寝。体は正直です。「役者は寝るのも仕事」という又聞きの格言もありますし、舞台上で役を演じるのは初めてやっていることもあるので、生活上の瑕疵はどうかご寛恕いただきたい(誰に?)。役者としてはせめて足を引っ張らないように本番を乗り切ることだけが目標……などとネガティブなことを言いつつ、作品自体はいつも通り、本当に面白いです!ぜひ今からでもご予約を!

音楽としては、今までのやり方を踏襲している部分に加え、これまでとは若干違ったアプローチを大きく導入しています。今までと同じなのは、生演奏の部分。パーカッションであったり、ギターであったり。今までと違う部分というのは、打ち込みのポン出しと、キーボードやサンプラーによる演奏です。元々僕は人前で演奏をするつもりはあまりない心算でボートシアターに参加し出したので、これは僕にとっては原点に戻った感じですが、僕がボートシアターで音をつけるアプローチとしては新しい感じです。

今回なぜそういうアプローチをすることになったかというと、かなり複合的な要因があるように思います。しかし、作品のテイストに助けられた部分が一番大きいかもしれません。

打ち込みやキーボード、サンプラーを使った音楽は『シグナルとシグナレス』で多用していますが、この作品は信号機や電信柱といった無機的、人工的なキャラクターのみが登場する芝居です。電波、電気、ランプの明滅といったイメージと打ち込み的な感覚が非常に良く合うように感じます。とは言っても、単に無機的な音楽ではなく、90年代以降?の有機的なエレクトロニカの雰囲気が随所にあったりするので、そういうのが好きな人には気に入っていただけるかもしれません(いや、この程度で偉そうにエレクトロニカとか言ってるんじゃない、って怒られちゃうかな?)。

また、『フランドン農学校の豚』は「漫画的(©️遠藤啄郎?)」と言えるほど展開の早い作品です。音楽としてはそのスピード感を出すために、表現の振り幅を大きくする必要もあり、こちらでも打ち込みを一部使用しております。しかし、どちらかと言えば、『フランドン〜』の方が今までっぽい、生演奏を多用したテイストになってます(一方で、一つの芝居として見れば、『フランドン〜』はボートシアターにしては異例なほどテンポの早い作品になっているのでは!)。

元々は打ち込みというものを主な表現手段にしていた僕が、今までボートシアターでなかなか打ち込みに手を出さなかったのは、劇団のカラーや、演出の要求にどう応えるか、という問題に関して、打ち込みでは不安が残る、と思っていたためです(この問題を言い始めると長くなりそうなので、また他日に譲ります)。

しかし、今回役を仰せつかったために音楽演奏の負担を少し減らさないとまずいぞ、という問題もあり、打ち込みとボートシアターという問題に対して真剣に考えざるを得ませんでした。その試行錯誤の成果が、特に『シグナルとシグナレス』に現れています。それを是とするか非とするか、「是非」劇場にて確かめてください!